HDMIの限界を超える距離の映像を送る-HDMI Converter
HDMIケーブルは、映像と音声を1本で伝送できるため非常に便利ですが、一般的にその長さが10mを超えると信号が不安定になりやすいという弱点があります。ホールでの演奏会の録画や配信といった場面では、10mの長さでは不足することが少なくありません。こういった時に安定して映像を伝送できるHDMIコンバーターを使っています。
HDMIの映像を離れた場所に送る方法
HDMIの信号を10m以上の長距離に送るには、いくつかの方法が存在します。それぞれの特徴を理解し、用途に合った方法を選択することが重要です。
HDMI中継器(リピーター)
HDMI中継器は、HDMIケーブル同士を接続し、減衰した信号を増幅して伝送距離を延長するための機器です。手軽に導入できるのが利点です。ケーブルからの電力で動作する電源不要タイプと、ACアダプタなどから給電してより安定して信号を増幅する電源供給タイプがあります。下記の商品は40mまで延長できるとありますが、一般的には合計で30m程度の延長が可能です。
上記の商品は、リピーターの中で信号を増幅することで、長距離の伝送を可能にしています。注意すべき点は、下記のような宮殿が必要ないタイプ、ただ延長するだけのアダプタでは、ケーブルをつなぐことはできますが、信号は増幅されませんので、長距離伝送はできません。
HDMIエクステンダー(延長器)
HDMIエクステンダーは、HDMI信号を長距離伝送に適した別の信号形式に変換する装置です。送信機(Transmitter)と受信機(Receiver)のセットで使用し、それぞれに電源が必要となります。主な変換方式として、LANケーブル、同軸ケーブル、光ファイバーケーブルを使用するものがあります。
LANケーブルタイプのHDMIエクステンダー
もっとも一般的なタイプで、比較的安価なLANケーブルを利用して信号を延長します。配線工事で広く使われているケーブルのため入手しやすく、取り回しがしやすいのが特徴です。製品にもよりますが、50m〜100m程度の延長が可能です。
同軸ケーブルタイプのHDMIエクステンダー

放送業界などで標準的に使用されるSDIケーブルなどの同軸ケーブルを使用するタイプです。SDIケーブルはノイズに対する耐性が非常に高い構造になっており、画質や音質の劣化を極力抑え、安定した長距離伝送が可能です。一方で、ケーブル自体が太く硬いため、LANケーブルに比べて扱いにくい面もあります。
Blackmagic Design製の「Micro Converter BiDirect SDI/HDMI 3G」であれば、映像の伝送ができるだけではなく、Atem miniシリーズからBlackmagic Design製のカメラのコントールができます。
光ファイバータイプのHDMIエクステンダー
光ファイバーケーブルを利用して信号を伝送するタイプです。最大の利点は、外部からの電磁ノイズの影響を全く受けないことと、非常に長い距離(数km単位)でも画質の劣化なく伝送できる点です。高画質な4K映像の長距離伝送などに適していますが、他の方式に比べて導入コストが高くなる傾向があります。
ワイヤレスタイプのHDMI送受信機
ケーブルを使わずに無線でHDMI信号を送受信するタイプです。ケーブルの配線を気にすることなく、部屋をまたいだり、設置が難しい場所に映像を送ったりできる手軽さが魅力です。ただし、壁などの障害物や電波干渉に弱く、伝送が不安定になったり、映像に遅延が発生したりする可能性があります。
各延長方法の比較表
延長方法 | 最大延長距離の目安 | 特徴 | 電源 |
HDMI中継器 | 〜30m | ・安価で手軽 ・信号の劣化が起きやすい | 不要または必要 |
エクステンダー(LAN) | 〜100m | ・ケーブルが安価で入手しやすい ・取り回しが容易 | 送信機・受信機に必要 |
エクステンダー(同軸) | 〜300m | ・ノイズに非常に強い ・安定性が高い ・ケーブルが太く高価 | 送信機・受信機に必要 |
エクステンダー(光) | 数km | ・ノイズの影響を受けない ・画質の劣化がほぼ無い ・導入コストが高い | 送信機・受信機に必要 |
ワイヤレス | 〜50m | ・ケーブル不要で配線が楽 ・障害物や電波干渉に弱い ・遅延の可能性あり | 送信機・受信機に必要 |
まとめ
この記事では、HDMIの映像を離れた場所に送るための様々な方法をご紹介しました。それぞれにメリット・デメリットがありますが、用途や環境に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
例えば、私が行っているような、中規模のホールでの演奏会の撮影といった用途では、スイッチャーからカメラまで30m程度あれば十分です。ノイズ耐性が高く信頼性のある同軸ケーブル(SDI)タイプのHDMIエクステンダーを選んで使用しています。
決め手となったのは、Blackmagic Design製の「Micro Converter BiDirect SDI/HDMI 3G」を使えば、映像の伝送ができるだけではなく、Atem miniシリーズからBlackmagic Design製のカメラのコントールができる点です。Atem miniから録画を開始すると、カメラも録画を始めますし、録画したファイルのタイムコードがそろうため、重宝しています。
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